タバコのヤニ汚れに経過年数(耐用年数)は考慮されない?

タバコの喫煙を原因とするヤニ汚れのクロス張替え費用は、退去時精算でトラブルが多く発生するケースです。

トラブルの原因は、貸主・不動産会社が「借主の故意・過失、善管注意義務違反の場合は、経過年数(耐用年数)を考慮せず費用全額を借主に請求する」という間違った認識があるからです。

たとえば、借主が3年間で退去した場合、貸主・不動産会社は、「クロスの耐用年数は6年。タバコの喫煙が無ければ、あと3年間は使用できた。それなら、借主に原状回復費用の全額を負担させる」と考えているからです。

本記事では、『タバコのヤニ汚れに経過年数(耐用年数)は考慮されない?』を詳しくご紹介します。

ヤニ汚れによっても経過年数(耐用年数)は考慮される

「あと3年間は使用できる」という貸主・不動産会社の心情も分かりますが、もちろん、ヤニ汚れでも経過年数(耐用年数)は考慮されます。

知っておきたい基礎知識

つまり、前述のケースでは、「借主の負担割合は、クロス残存価値の50%」になるということです。

ヤニ汚れ以外のケースも考え方は同じ

本記事はヤニ汚れに注目しましたが、ヤニ汚れ以外の故意・過失、善管注意義務違反を原因とする原状回復工事であっても、経過年数(耐用年数)はもちろん考慮されます。

たとえば下記内容は借主の故意・過失、善管注意義務違反に問われるケースですが、このようなケースでも経過年数(耐用年数)が考慮されます。

  • 結露を放置したことによってカビが発生
  • 使用後の手入れが悪く、油汚れが付着
  • 物をぶつけて、はがれてしまった
  • 子供が落書きしてしまった

経過年数(耐用年数)が考慮された負担例

前述のとおり、借主の故意・過失、善管注意義務違反の場合でも、経過年数(耐用年数)は考慮されます。クロスの経過年数(耐用年数)は6年になるので、張替えから6年経過したクロスの残存価値は1円になります。

たとえば、20㎡のクロスの張替えが必要なケースで、クロスの張替え費用が㎡単価1,000円の場合は、クロスの貼替費用に関する内訳は、「貸主負担:19,999円」「借主負担:1円」(全体工事費20,000円)になるということです。

注意しなければいけない点

クロスの耐用年数は6年であり、6年経過したクロスの残存価値は原則として1円に下がります。しかし、「借主の負担金額が確実に1円まで下がるか?」は、注意が必要です。

国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」が、経過年数を超えた物件であっても、“工事費・人件費”は借主負担となる可能性を示唆しているからです。

ガイドラインによる修正

国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、「経過年数を超えた物件であっても、借主はなお善管注意義務を負い、貸室に損耗を与えた場合は、例えばクロスを張替える費用(工事費や人件費)などにつき、借主負担となる場合がある」としています。

これは、「原則」「例外」という話ではなく、最終的に裁判になった際の判断や貸主・借主双方が話し合いでの和解等の際に基準となる可能性の問題です。

もちろん、最初にご紹介した「クロス張替費用100%借主負担」という不当な請求は認められませんが、「借主の負担が残存価値の10%前後になる可能性は十分ありえる」ということを覚えておきましょう。

まとめ

タバコ喫煙によるヤニ汚れは、確かに故意・過失、善管注意義務違反と判断されます。しかし、経過年数(耐用年数)を考慮せず、張替費用全額が借主負担という訳ではありません。

クロス張替えの費用負担は、敷金精算において特にトラブルが多い箇所になりますので、本記事の内容は必ず覚えておくことをおススメします。

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