写真がないと敷金返還で不利になる?

「退去時、高額な原状回復費用を請求された。反論したいが、退去時に写真を撮ってない」「貸主(不動産会社)から『キズや汚れが入居時に付いていた証拠はあるんですか?』と言われた」等の経験をされた方も多いのではないでしょうか。

退去時に敷金・原状回復トラブルが発生する原因として大きなものに、「入居時と退去時の部屋の程度差に関する貸主と借主の認識の相違」があります。

“入居時と退去時の部屋の程度差に関する貸主と借主の認識の相違”とは、「そのキズや汚れは入居時からついていたのか、入居中についたものなのか」や「キズや汚れは通常損耗なのか故意・過失にあたるのか」という認識のことです。

貸主・不動産会社はこのような“程度差”に対する証拠を、借主が提出するように求めることが多いです。

その中で「写真はありますか?写真がないのであれば全額負担していただきます」旨の主張が多く見受けられますが、借主は、本当に写真等の証拠を出す義務はあるのでしょうか。

本記事は、『写真がないと敷金返還で不利になる?』について詳しくご紹介します。

証拠を提出しなければならないのは“貸主”

貸主が借主に対し、故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を原因とする原状回復費用を請求する場合、原則として、貸主が証拠を提示する必要があります。

原状回復のケースだと複雑になってしまうため、ここでは「お金の貸し借り」をイメージしていただきたいのですが、AさんがBさんに100万円を貸したケースでご紹介します。

AさんはBさんに100万円を貸したが、返済期限になってもBさんは100万円を返済してくれない。この場合、AさんはBさんに対し100万円の返金を求め裁判所へ提訴することになります。裁判所はAさんが提出した証拠である“借用書”等を確認し、Bさんに対し「Aさんに100万円を返金しなさい」という判決を下します。(証拠は借用書に限りませんが、Aさんが何かしらの証拠を提出する必要がある点は変わりません)

逆にAさんが何の証拠も提出せずに裁判を行った場合、裁判所はAさんがBさんにお金を貸した事実の真意を判断できません。お金を貸した事実を証明する証拠が存在したいため、当然に結論です。(「Bさんに対し、お金を借りていない事実を証明しろ」ということは、法律的にできません)

このように、「貸主が証拠を提示する義務がある」このことを“債権者の立証責任”といいます。

立証責任はこう使え!!

不当な原状回復費用を請求されたケースおいて、上記“債権者の立証責任”は以下のように使用することができます。

たとえば、ここに貸主Aさん・借主Bさんがいるとしましょう(以下貸主Aと借主Bの会話)

~平成○○年○月○日 建物C退去時の現場にて~

貸主A「借主Bさん、LDKのフローリングにキズ、洋室のクロスに汚れがついてるんだけど、これあなたが付けたものでしょう!!」

借主B「いやいやいや!!これは入居時から付いていたキズと汚れですよ」

貸主A「私が入居前にチェックしたときはこんなキズと汚れはなかったよ!入居の時から付いていたって主張するなら証拠はあるの!?」

借主B「いやいや貸主Aさん。このキズと汚れが入居時に無かったという立証責任は、法律上貸主Aさんにありますよね?写真等はありますか?」

貸主A「(ぎく!!)写真までは撮っていないけど・・・」

借主B「証拠がない以上、私はその費用はお支払いできません」

貸主A「えぇぇぇ!!んなアホなぁ(泣)」

まとめ

借主の方が入居時・退去時の写真を撮っていなくても、立証責任が貸主にある以上そこまで不安になる必要はありません。しかし、だからといって「入居時・退去時に写真をまったく撮らなくても良い」というとそれは違います。

本記事でご紹介した“貸主の立証責任”は、あくまでも「借主の方が写真を撮影していなくても、敷金・原状回復トラブル時に不利になりにくい」というだけであり、敷金精算で一番重要なことは、「無用な敷金・原状回復トラブルを起こさない」ということだからです。

ここは明確に区別しておきましょう。

借主が写真を撮影していれば、それだけで無用なトラブルを避けられる可能性が高くなります。本記事の内容も覚えておきつつ、トラブルのない敷金精算を目指すことを忘れないでください。

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1 個のコメント

  • とっても参考になりました。近々退去予定なので記事助かります。有り難うございます。