ご相談いただき誠にありがとうございます。
本記事は、『クロス貼替えを負担しなければいけない範囲とは?』というご相談にお答え致します。
弊所回答
U様、ご相談いただきまして誠にありがとうございます。NEXT行政書士事務所の永井と申します。
ご相談いただきました、『借主がクロス張替えを負担しなければいけない範囲とは?』に関してお答え致します。
クロス貼替え費用を負担しなければいけないケース
まず前提として、「借主がクロス張替費用を負担しなければいけないケース」の具体例は以下のとおりです。
- タバコの喫煙によってヤニ汚れが付着している
- 換気等をしなかったことによってカビが発生している
- 落書き等をしてしまった
- ペットがクロスを傷つけてしまった
上記ケースでは、借主がクロス張替費用を負担しなければなりません。
つまり、クロスの損耗・毀損の原因が、借主の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用を原因とする場合は、借主がクロス貼替え費用を負担する必要がでてくるということです。
借主は負担すべき範囲とは
では、“借主が負担すべき範囲”はどの程度なのでしょうか?
この借主が負担すべき範囲については、国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(以下 ガイドライン)が詳しい基準を設けています。
賃借人の負担単位
- ㎡単位が望ましいが、賃借人が毀損させた箇所を含む一面分までは張替え費用を賃借人負担としてもやむをえないとする。
- 喫煙等によって当該居室全体においてクロス等がヤニで変色したり臭いが付着した場合のみ、当該居室全体のクリーニングまたは張替費用を賃借人負担とすることが妥当と考えられえる。
上記のとおり、ガイドラインでは「㎡単位での貼替が望ましいとしながらも、毀損させた箇所を含む一面分までは賃借人負担としてもやむをえない」としています。
これを分かりやすくご説明すると、一般的な洋室6帖であれば壁が四面あると思います。仮に壁A、壁B、壁C、壁Dとしましょう。
そこで、壁Aにペットが傷をつけてしまった場合、借主がクロス張替を負担しなければならない範囲というのは、“壁A一面分まで”ということになります。
貸主や不動産会社は、「壁一面だけでは、張替えた壁と張替えなかった壁で色合いが変わってしまうので、借主負担で全面張替えしてください」と請求してくる場合がありますが、このような請求は不当な請求です
ただし、タバコのヤニ汚れが付着している場合は、借主負担での全面張替えを認められている点に注意が必要です。
まとめ
U様のケースでは、お子様のらくがきが主な原因とのことですので、該当する箇所を含めた一面分を負担すれば借主としての原状回復義務を果たすと考えられます。
また、借主の過失によってクロスを貼替える場合であっても、経過年数が考慮されます。したがって、「賃借期間によっては、借主負担としてのクロスの貼替え費用を減少させられる可能性がある」という点も、ぜひ覚えておいてください。