ご依頼いただく前の状況
今回ご依頼いただきました O・N様は東京都にお住いの女性の方でした。
賃貸条件として、
- 賃料:105,000円
- 敷金:105,000円
に対して、不動産会社から、
- 原状回復費用:167,340円
の請求を受けていらっしゃいました。
ご依頼いただいてからの経過
O・N様から契約書を送付していただきました。
今回の敷金精算のポイント
O・N様の負担内容を把握するために、契約書を確認します。
契約書には、
第18条(明渡し時の特約)
1 乙は賃貸住宅を明渡す際は、契約当初の原状に復すること。そのために室内の傷や汚れを補修するための補修費を、自然の損耗以外のすべてについて、甲の指示に従って実費を乙が負担すること。又、乙は甲に対し如何なる名目の金銭及び財産上の請求をしないものとする。尚、使用に伴う損耗は原状回復の対象とする。
2 原状回復のための費用に対する負担すべき割合について、甲乙間に於いて協議が整わない場合には、本契約書添付の『賃貸住宅入居時点検確認書』に記載されている割合とする。又、乙は、明け渡しに際してのルーム・クリーニング代を負担すること。
との記載がありました。
まず、契約書第18条1に関して検討していきます。
この契約内容は、国土交通省のガイドラインに定められている『原状回復義務』の定義と同じとみていいでしょう。つまり、借主の故意・過失・善管注意義務違反及び通常の使用を超える使用による損耗等については、借主の負担。それ以外の通常使用による損耗については貸主の負担ということです。
次に、契約書第18条2に関して検討していきます。
この契約内容で重要な点は、『又、乙は、明け渡しに際してのルーム・クリーニング代を負担すること』という点にあります。
そもそも国土交通省のガイドラインでは、ルームクリーニング費用は原則貸主負担としています。ただし、例外として、
- 退去時に、借主が日常清掃程度(掃き掃除、拭き掃除、水回りの清掃、レンジ回りの油落とし等)を行っていない場合
- 借主がルームクリーニング費用を負担する旨の特約が有効に成立している場合
上記どちらかが当てはまる場合は、ルームクリーニング費用は借主負担となります。
上記内容を、今回の契約内容と比較すると『借主がルームクリーニング費用を負担する旨の特約が有効に成立している場合』に当てはまり、O・N様がルームクリーニング費用を支払う必要があるような気がします。しかし、実はこの特約というのは、ただ契約書に書いてあればそれが有効になるとは限りません。
原状回復に関する借主に不利な内容の特約は、近年の(最高裁)判例も踏まえ、次のような要件を満たしている必要があります。
- 特約の必要性があり、かつ、暴利的でないなどの客観性、合理的理由が存在すること
- 賃借人が特約によって通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことについて認識していること
- 賃借人が特約による義務負担の意思表示をしていること
上記の要件に満たない場合、『消費者契約法 』により特約は無効になる可能性が高くなるのです。
O・N様は、退去時に日常清掃程度を行っており、契約内容を考えてもルームクリーニング費用を支払う必要はありません。しかし、一部過失によって破損してしまった箇所があるとのことで、預託済み敷金105,000円から、過失によって破損してしまった箇所の修復費用11,000円を差し引いた残額である94,000円の返還請求を不動産会社に送付しました。
結果
内容証明郵便送付後、不動産会社から94,000円を返還する旨の連絡が O・N様にありました。
退去してから、なかなか精算書が送付されてこない等、不動産会社に不信感をもっていらっしゃったO・N様。最後はご納得いただける結果になり、とても喜んでいただきました。
お客様の声
O・N様からいただいた『お客様の声』をご紹介致します。
- ① 弊所のサービスは満足できましたか(下記からお選びください)
- とても満足 満足 普通 少し不満 不満
- ② 上記ご質問で『とても満足』『満足』を選ばれた方のみ。どこに満足いただけましたか?
- 親切、丁寧、的確な対応をして頂き、とても満足出来ました!!
- ③ 上記ご質問で『少し不満』『不満』を選ばれた方のみ。どこが不満でしたか?
- –
- ④ NEXT行政書士事務所に一言お願い致します
- 最後まで丁寧に対応して頂き本当にありがとうございました。敷金精算で困ったことがあったら、また御相談させて下さい。