これからの季節、引越しをする方が多くなります。
入居時は、荷解きや各種届出等で時間的に余裕がないことが多く、部屋のチェックが後回しになってしまいがちですが、部屋のチェックは必ず行うようにしましょう。
敷金トラブルの多くは「入居時の確認不足」が原因だからです。
本記事では、『入居時にチェックすべき個所と項目のポイント!!』について詳しく解説致します。
目次
入居時のチェックは借主の義務なの?
そもそも、お部屋の入居時チェックは借主の義務なのでしょうか?
法律的には、「貸主」にも「借主」にも、入居時にチェックするべき“義務”というのはありません。しかし、“部屋を貸し出す”ということを考えれば、チェックは本来貸主がするべきでしょう。
というのも、敷金トラブルとして想定されるケースとして、貸主が借主に対して「入居時にこのキズや汚れはなかった。だからこのキズや汚れを補修しろ」という請求が多いからです。
これを法律的にみると「貸主が借主に対して損害賠償を請求する」ということになります。
損害賠償を請求する場合「入居時にキズや汚れがなかった」ことを立証する義務があるのは、債権者=貸主側に発生します。
この立証がされなければ、貸主は借主に対して損害賠償請求をすることはできません。
借主は部屋のチェックをしなくてもよいのか

入居時、部屋のチェックすべきなのは貸主ですが、これは「借主が部屋をチェックしなくてもよい」とイコールではありません。
なぜなら、貸主がチェックすべき理由は「裁判で自分の主張を認められるためのもの」であるのに対して、借主がチェックすべき理由は「裁判までトラブルを拡大せず円満な敷金精算を目指すためのもの」だからです。
たとえば、貸主・借主双方が入居時に部屋のチェックをしていなかったケースで、貸主が借主に部屋のキズに対して損害賠償請求を起こした場合、貸主は入居当時キズがついていなかったということを立証する事はできず、貸主の損害賠償請求は認められません。結果、借主の勝訴。
まぁ結果としては、借主が勝訴してよかったですね・・・・・しかし、本当にそうでしょうか?
勝訴したとしても、裁判になれば平日に出廷しなくてはなりません。お仕事をしている方は有給休暇をとらなくてはいけないかもしれません。もちろん弁護士・司法書士の先生に依頼すれば出廷する必要はありませんが、費用が発生してしまいます。
これでは、円満な敷金精算とは到底いえません。
部屋のチェックは、裁判までトラブルを拡大せず、円満な敷金精算を目指すためのものです。忙しいからと後回しにせずキチンとおこなっておきましょう。
部屋のチェックをどの程度すべきか
部屋のチェックといっても、どの程度すればよいのかなかなか分かりにくいかもしれません。
そこで「最低限ここはチェックしておこう」という箇所をリストにしてみました。参考にしてください。
クロス
新品か中古かを確認してください。その上で中古の場合は、大きなキズや汚れがある箇所の場所を写真で撮っておくとよいでしょう。(画鋲の穴程度はチェックしなくて大丈夫です)
フローリング
新品か中古かを確認してください。その上で中古の場合は、大きなキズや汚れがある箇所の場所を写真で撮っておきましょう。
また、厳密にいうとフローリングではありませんが、クッションフロア(以下CF)のお部屋に入居する方は、(CFというのは、フローリング調のビニールシートのことです)前入居者の家具跡が残っている場合があります。
本来であればこういった家具跡は貸主負担になるのですが、貸主から請求されることが多い箇所になるので写真を撮っておくとよいでしょう。
水周りのカビ
築年数が浅い物件ではあまりみませんが、築年数が多少経っている物件だと水回りのパッキン等にカビが生えていることがあります。こういった場合は写真を撮っておきましょう。
設備関係(エアコン・給湯器等)
設備関係に関しては入居時にチェックするというよりも、入居期間中は継続してチェックしてもらいたい箇所です。
『エアコンであれば温風・冷風の効きが悪くなってきた』や『給湯器であれば温水の出が悪くなってきた』等入居中に機械の調子が悪くなってくることがあります。
このような場合は、すぐに貸主に連絡するようにしましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
確かに入居時は忙しいことが多く時間的余裕がなくなってしまうことは否めません。しかし、お部屋の中でチェックすべき箇所はそこまで多いものではありません。
退去する際に無用な敷金返還トラブル・原状回復トラブルにまき込まれないためにも、「円満な敷金精算の秘訣は入居時にあり」ということは、ぜひ覚えておいてください。