退去後に貸主・不動産会社から提示された精算内容に納得がいかない場合、まずは口頭で抗議する借主の方は多いはずです。
この段階で無事解決出来るのがベストですが、口頭で抗議しただけで素直に敷金返還してくる貸主・不動産会社は少ないのが実情です。
本記事では、『敷金返還されない場合の次のステップ【内容証明郵便・少額訴訟】』について詳しくご紹介致します。
目次
ステップ①:内容証明郵便を送付する

口頭で抗議しても敷金が返還されない場合、次のステップとして「内容証明郵便の送付」を検討しましょう。
内容証明郵便を送付した方がいい四つの理由
内容証明郵便を送付した方がいい理由は、下記の四つにあります。
- 貸主・不動産会社に借主の本気度を示すことができる
- 自分の考えを整理して主張することができる
- 「いった・いわない」等の紛争を防ぐことができる
- 少額訴訟になった場合に証拠として提出できる
四つの理由を詳しく解説します。
理由①:貸主・不動産会社に借主の本気度を示すことができる
貸主・不動産会社は、借主が口頭で抗議してきても本気で対応しようとしません。「どうせこれ以上なにも行動をおこせないだろう」と考えているからです。
内容証明郵便を送付することによって、こういった態度に対して「借主の本気度を示すこと」が可能です。
理由②:自分の考えを整理して主張することができる
「自分が考えていることを、うまく相手に伝えることができなかった」という経験は誰にでもあるのではないでしょうか? 敷金返還請求という法律や判例の考えを主張する場合は、尚更うまく伝えるのが難しくなります。
内容証明郵便という書面であれば「自分の考えを整理して主張することが可能」です。書面を作成する際にいくらでも法律や判例に関して調べることができますし、自分の考えを整理して作成することができるからです。
理由③:「いった・いわない」等の紛争を防ぐことができる
内容証明郵便の効力として、郵便局が「だれが」「いつ」「どんな内容」の郵便を送ったのかを証明することが可能です。
万が一「いった・いわない」等の紛争になった場合に、口頭での抗議では基本的に証拠は残りませんが、内容証明名郵便を送付することによって「いった・いわない」等の紛争を防ぐことが可能です。
理由④:訴訟になった場合に証拠として提出できる
内容証明郵便を送付しても解決できない場合、最後の手段として訴訟の提起をおこないます。訴訟を起こす際に必要な書類は「契約書や「敷金精算書」はもちろん、「内容証明郵便」も証拠として提出することが可能です。
内容証明郵便を証拠として提出することによって裁判官が争点を把握できるようになるため、より明確な判決が得られやすくなります。
ステップ②:少額訴訟を提起する

内容証明郵便を送付するだけでも敷金を返還してくる可能性は非常に高いです。(弊所にご相談・ご依頼いただきました86.7%のお客様が「より多くの敷金返還」もしくは「原状回復費用の大幅減額」を実現させております(平成29年2月21日現在))
しかし、内容証明郵便を送付しただけで100%解決できるわけではないのも事実としてあります。そこで、内容証明郵便を送付しても敷金の返還が実現できない場合は「少額訴訟の提訴」を検討しましょう。
“訴訟”といっても原則一日で終わる裁判であり特別難しいものではありません。ご自身で裁判ができるのか不安な方は、弊所記事『自分で裁判(少額・通常訴訟)はできるのか?』を参考にしていただければ幸いです。
まとめ
口頭での敷金返還交渉で解決できるのがベストとはいえ、なかなかそれだけで解決しない現実もあります。そんな時は本記事でご紹介したステップをひとつずつ実践してみてください。
敷金返還で一番重要なことは「諦めないで戦うこと」です。
諦めずに戦うことができれば、きっといい結果に結びつくはずです。