国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(以下ガイドライン)のことは、敷金返還請求を考えたことのある方なら、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
現在、ガイドラインは敷金精算時の指標として広く普及していますが、これはどういった理由からでしょうか?また、貸主・不動産会社はガイドラインの内容を守る義務はあるのでしょうか?
本記事では、『国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」は法律なの?』について詳しく解説致します。
ガイドライン=法律ではない
ガイドラインは法律ではありません。あくまで国土交通省が作成した敷金精算・原状回復に関する“指標”です。
法律でないということは、貸主・不動産会社はガイドラインの内容に従う義務はありません。しかし、実務上はガイドラインの内容にそって敷金精算を進めることになります。
なぜ、貸主・不動産会社は法律でもないガイドラインの内容にそって敷金精算を進めるのでしょう。それは、ガイドラインが裁判所の判例を中心に作られているからです。
ガイドラインは裁判所の判例を中心に作られている
ガイドラインといのは確かに法律ではありません。しかし、ガイドラインの内容というのは裁判所の判例を中心にまとめらています。
裁判所というのは過去の判例にしたがって類似した事件に判決を下しており、基本的には過去の判例とは違った判決は下しません。(似たような事例は似たような判決内容になるということです)
ガイドラインの実質的法的拘束力
ガイドラインは、裁判所の過去の判例をもとに作られています。これは「敷金精算においてはガイドラインの内容にそっておこなうのが望ましい」ということです。
つまり、「ガイドラインにそって敷金精算をしなくても自由だし違法ではないが、裁判になった場合はガイドラインを参考に判決を下しますよ」ということです。
ガイドラインは法律で無い以上、ガイドラインの内容を無視した敷金精算をすることは自由ですし違法ではりません。しかし、仮に裁判になった場合、ガイドラインの内容にそった判決が下されるため、貸主・不動産会社会社は実質的にガイドラインの内容に拘束されるのが現状です。
まとめ
実際に裁判所は、過去の判例をもとに作成されたガイドラインの存在を重要視した判決を下しており、現実には法律と同じような拘束力を持ち始めています。
昔に比べると契約書内に「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」という用語を記載しているケースが多く見られるようになってきました。
しかし、貸主・不動産会社の中には、「ガイドラインは法律ではありません、ガイドラインにそって敷金精算しなくても違法ではないですよ」と、貸主・不動産会社の都合がいいように、借主の方に説明するケースもまだまだ見受けられます。
確かに、ガイドラインは法律ではありませんので“ウソ”ではありませんが、説明している内容は限りなく“不当”に近くなります。
こういった説明に惑わされないよう、本記事の内容は覚えておくことをおススメします。
ガイドラインは、法律ではない単なる通達。何故、法律ではなく通達かと言えば、憲法違反のおそれがあるから。おそらく憲法違反を根拠で裁判をすれば、最高裁まで行くと思う。仮に、そうなれば悪しき慣行の終焉となるだろう。
大宮様、
貴重なご意見、誠にありがとうございます。