ff0082e92bb79d735732d50395c2b3bb_s敷金返還の際に”少額訴訟”を利用して解決を目指す方法はとても有効です。

※少額訴訟ってなに?:詳しくはこちら👉少額訴訟とは?

しかし、一般の方が少額訴訟を起こすのは心理的に『少額訴訟って最近よく聞くけど、素人にはやっぱり難しいんじゃないの』『費用がいくらかかるのが分からない』等不安になる方も多いのではないでしょうか。

●こちらの記事もおススメです自分で敷金返還訴訟(少額・通常訴訟)はできるのか?【不安に思っている方へ】

本記事は『意外とお手軽!!敷金返還に役立つ少額訴訟の流れや手続き【保存版】』について詳しく解説しています。

少額訴訟の手続きに関して

少額訴訟を提起する場合の流れは、

  1. 訴状の提出
  2. 簡易裁判所が訴状受理
  3. 口頭弁論期日(裁判日)
  4. 判決

大まかに上記のようになります。

では詳しく見ていきましょう。

訴状の提出

少額訴訟の提起は原則として、

  • 被告の住所地
  • 不動産の住所地(敷金返還の場合)

管轄する簡易裁判所”訴状”を提出する必要があります。

※管轄の裁判所はこちらから調べられます:裁判所のHPにとびます

訴状というと難しく思われる方もいらっしゃるかと思いますが、窓口で詳しく説明してくれますし、裁判所のHPにも訴状のひな形がアップされているので問題なく作成することが可能です。

※敷金返還訴訟に必要な訴状・ひな形を手に入れたい方はこちら:裁判所のHPにとびます

簡易裁判所が訴状受理

訴状を提出した時点で裁判所が

  1. その裁判所の管轄かどうか
  2. 訴状の必要的記載事項がすべて書かれているかどうか
  3. 少額訴訟を提起できる種類であるかどうか
  4. 必要額の収入印紙が貼付されているかどうか

等を審査して問題なければ訴状は受理されます。

受理された場合、その場で『口頭弁論期日が指定された呼出状』『少額訴訟事件受付票』(事件番号が記載された紙)が交付されますが(呼出状は後日郵送で交付になる場合もありますが、大体の日程はその場で教えてくれます)今後裁判所に問い合わせする際や手続きの際に必要になりますので、なくさずに保管しておきましょう。

口頭弁論期日

口頭弁論期日というのは、裁判をおこなう日です。当日は遅くとも15分前に、裁判所の指定された法廷前に到着するようにしましょう。口頭弁論に遅刻や無断で欠席すると、裁判官に相手方の言い分が認められて敗訴してしまう可能性があるからです。

当日、裁判所に行くことができないほどの重病、予想できない大きな災害、避けられない交通機関のストライキ等の場合、口頭弁論の期日を延長することは可能ですが、個人的な仕事等の理由では期日を延長することはできませんので注意が必要です。

また、あらかじめやむをえない事情で出廷できないことが分かっている場合には『期日変更の申立書』を提出しなければなりません。こちらも注意してください。

無事、口頭弁論に出廷することができた場合は裁判が始まりますが、少額訴訟の場合、テレビで見るような『真ん中に裁判官、左右向かい合って原告と被告が座りあうような法廷』ではなく、ラウンドテーブルという丸いテーブルに裁判官や書記官、司法委員、原告、被告等が一緒に座り裁判を進めていくのが一般的です。

判決

基本的には口頭弁論終了後、裁判官から判決が言い渡されますが、後日送付という形で判決書が送付される場合もあります。

また、少額訴訟の場合100%の勝ち負けという判決ではなく、原告被告の妥協できる範囲での『和解』を裁判官から勧告される場合も多いようです。

和解案に納得できない場合は断ることも可能ですが、妥協できる範囲内であれば和解を受け入れてたほうがよいでしょう。

ちなみに判決・和解共に裁判で確定した事項(例えば○月○日まで敷金○○○○円を原告に返還する等)が破られた場合、強制執行という方法で確定した債権内容を実現することが可能です。

少額訴訟の費用に関して

少額訴訟の費用に関して、「”少額”といっても高額な費用がかかるんじゃないか」と思われている方も多いと思いますが、基本的には10,000円程度で起こすことが可能です。

まず少額訴訟にかかる費用として、

  1. 裁判費用
  2. 当事者費用
  3. 裁判所までの交通費等

が必要な費用になります。先に書いておくと上記3つの費用は裁判で勝訴した場合、被告(貸主・不動産会社)に負担してもらうことができるということも覚えておきましょう。

それでは以下詳しく見ていきましょう。

裁判費用

裁判費用は、その名のとおり裁判所に提起するために必要な費用をいい、これには『手数料』と『それ以外の裁判費用』があります。

手数料

手数料とは、原告が裁判所に訴えを提起する時に必要な費用で、訴訟の目的の価格にしたがって法律で定められていますので、詳しくは裁判所のHPで確認してください。
(例)敷金8万円の返還訴訟の場合:手数料1,000円  敷金25万円の返還訴訟の場合:手数料3,000円

※手数料はこちらで調べることができます:裁判所のHPにとびます

この手数料は、収入印紙を訴状に添付して納付することになります。

それ以外の裁判費用

手数料以外の裁判費用としては、主に送達費用があります。送達費用とは、裁判所が原告や被告に対して書類の送付にかかる郵便代金と考えてください。

この費用は郵便切手で支払う必要があり、敷金返還訴訟の場合は被告(貸主・不動産会社)が1人であることが多いのでおおむね5,000円前後になります。

この送達費用は管轄の裁判所によって金額が若干変動します。訴状提出前に管轄裁判所に確認しておきましょう。

当事者費用

当事者費用とは、訴訟の当事者(原告や被告)の行為に必要な費用になります。

敷金返還訴訟の場面で必要になる場面としては、貸主が法人名義(会社名義)の場合、法務局に備え付けられている商業登記事項証明書を取得する必要があり、その際の費用が600円になります。

少額訴訟に必要な書類とは

敷金返還に関する少額訴訟を起こす際に必要となる書類は数点あります。

少額訴訟は基本的に一回の口頭弁論で判決まで言い渡される訴訟手続きになるため、裁判の際に提出する書類が多いほどよいでしょう。ただし、やみくもに書類を提出できるわけではなく、少額訴訟で提出できる書類は口頭弁論当日にすぐに取り調べが出来るものに限られます。

その上で敷金返還に関する少額訴訟に必要となる書類として、

  1. 賃貸借契約書(なければ重要事項説明書、更新時の契約書)
  2. 敷金精算書(原状回復明細書・見積書等)
  3. 内容証明郵便と配達証明記録(事前に送付している場合)
  4. 入退去時の写真(なくても大丈夫)

上記のような書類があると安心です。

賃貸借契約書(なければ重要事項説明書・更新時の契約書)

賃貸借契約書は原告が争いになっている物件に住んでいたということを証明する書面になりますので重要な書面です。

また、敷金返還請求の場面において争いとなるケースとして特約の有効性があり、そういった点を判断することに関しても重要になってきます。

※特約ってなに?:詳しくはこちら👉特約(原状回復特約・ハウスクリーニング特約等)とは?

●こちらの記事もおススメです知っていると敷金返還に有利!!特約(原状回復・クリーニング特約)について!!

長く入居していると「契約時に締結した契約書が紛失してしまった」という方もいらっしゃいますが、そのような方は『重要事項説明書』もしくは『直近に更新した際の更新契約書』でもよいでしょう。
(できるだけ不動産会社から契約書のコピーをもらっておくことをおススメします)

敷金精算書(原状回復明細書・見積書)

退去後に、貸主もしくは不動産会社から送付してくる敷金精算書(原状回復明細書・見積書)を提出しましょう。

内容証明郵便と配達証明記録(事前に送付している場合)

事前に内容証明郵便を送付している場合、内容証明郵便と配達証明記録も裁判所に提出しましょう。

内容証明郵便を提出する理由としては、訴状にも今までの経緯やどういった法律の理論で敷金の返還を請求するのかを記載しますが、一般的には内容証明郵便の方が訴状よりも詳しくそういった経緯や法律の理論を記載していますので、口頭弁論時に裁判官に説明がしやすいというメリットがあります。

また配達証明記録は、内容証明郵便を送付し相手方がそれを確実に受け取ったという証拠となる資料です。『そんな通知は受け取っていない!!』と被告が主張しても反論できるように、忘れずに内容証明郵便とセットで提出しましょう。

入退出時の写真(なくても大丈夫)

入退出時の写真があれば提出しましょう。写真を撮っていれば、入居時に最初からあった傷や汚れと退去の際の比較ができるので正確な判断が期待できますが、基本的に借主がつけた傷や汚れを立証するのは貸主の義務になります。

「写真を撮っていなくても大丈夫ですか?」という質問をたまにいただきますが、敷金返還請求の場合はそこまで気にしなくても大丈夫です。

●こちらの記事もおススメです写真がないと敷金返還で不利になる?

まとめ

ここまで、少額訴訟の流れや手続きをご紹介してきましたがいかがでしたでしょうか?

法律を仕事にしている人間には身近な少額訴訟ですが、一般の方にはまだまだ遠い存在かもしれません。しかし、今回ご紹介したとおり、実はみなさんが思っているより簡単に、費用もお手軽に少額訴訟を起こすことは可能です。

訴訟と聞いて『やっぱり私には難しそう』『どうせ勝てなそうだから敷金は諦めよう』と思わず、ぜひ一度検討してみてください。

本記事が、敷金返還でお悩みの方の少しでもお力になればうれしいです。

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