民法が改正されると、敷金返還はどうなるの?イメージ

最近話題の『民法改正』ですが、政府はさる 2015年 3月 31日に改正案を衆議院に提出しました。 今回の改正は民法制定以来約120年以来となる根本改正になると見られ、主な改正内容は、

  • 短期消滅時効の廃止
  • 法定利率の引き下げ
  • 保証人の保護の強化
  • 敷金は原則返還
  • 意思無能力者がした契約の無効
  • 購入商品に欠陥があった場合の責任

になります。(これ以外にも 200条前後の改正が予定されていますので、興味のある方は下記PDFをご覧下さい)

* 民法(債権関係)の改正に関する要綱仮案はこちら

上記、改正案のなかで弊所の業務でもある『敷金返還』に関しても大きな改正が予定されています。

敷金返還における民法改正案

まず敷金や原状回復に関しては民法上特に規定はなく、国土交通省が策定した『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』にそって裁判所も判断しているのが現状ですが、国民生活センターによると、2012年、1万4000件超、2013年は 1万 3000件超の敷金や、原状回復のトラブルに関しての相談が寄せられています。

そこで改正案では、敷金を『賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭』と明確に定義付けた上で、『賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき』は、『賃借人に対し、その受け取った敷金の額から賃貸借に基づいて生じた賃借人の賃貸人に対する金銭債務の額を控除した残額を返還しなければならない』として、敷金の返還義務を規定し、その上で、『賃借人は、賃借物を受け取った後に生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に回復する義務を負い、ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない』として、原状回復義務について、『通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く』という内容を明確に規定することとなっています。

色々難しい言葉が書いてありますが、簡単に言うと『敷金は借主が滞納等をしてしまった時の担保として預けるもので、契約が終了して、部屋を退去したときに滞納等がなければ全額返しなさい。原状回復工事は貸主負担、借主は故意、過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用によって生じた損耗・毀損のみを負担しなさい』というのが大まかな概要になります。

敷金返還しやすくなる!!というのは半分本当。半分うそ。

上記改正案では、敷金というものの性質を、『原則借主に返還するもの』と定義しており、借主保護に近い内容になっているのは間違いないでしょう。

ただし、この改正案をもって必ず敷金が返ってくるようになるかというとそうではありません。

民法はいくつかの原則があり、その中の『契約自由の原則』によって、基本的には契約内容は自由に決定できるのが原則になります。

現在の敷金等の定義が規定されていない民法によって、借主に必要以上の原状回復を求める特約に関しては、この契約自由の原則を根拠としたものです。

もちろん、消費者契約法に基づく判例や国土交通省のガイドラインに記載がある通り、すべての特約が有効となる訳ではなく、一定の条件が必要にはなりますが、改正によって敷金の定義が明確になれば、逆に言えば借主も契約内容を確実に把握することが求められるようになるかもしれません。

政府は今国会で民法改正を目指すとのことですので、今後の展開を注意深く見ていこうと思います。