適正な原状回復費用の算出には、“経過年数の考慮”という考え方を知る必要があります。経過年数とは、「物の価値は、年数の経過によって減少していく」という考え方のことです。

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※経過年数ってなに?:詳しくはこちら👉経過年数とは?

この経過年数を考慮することによって、貸主・借主の原状回復費用における負担割合が変わってきます。

また、経過年数は、部材(クロス、襖、フローリング等)によって考慮する年数が変わってきます。たとえば、クロスの経過年数は「6年」に対し、襖の経過年数は「経過年数無し」になります。

部材によっての経過年数の具体例は、国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に詳しく記載がありますが、この経過年数の具体例を「実際にどういうふうに計算したらいいのか、わからない」と思っている方は多いのではないでしょうか?

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※国土交通省『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』ってなに?:詳しくはこちら👉国土交通省のガイドラインとは?

本記事では、『経過年数(耐用年数)の計算方法を詳しく解説!!』致します。経過年数(耐用年数)の計算方法は、適正な原状回復費用を算出するために必須の知識になるので、ぜひ覚えておきましょう。

各部材の具体的な経過年数(耐用年数)を知る

経過年数(耐用年数)の計算方法を詳しく解説する前に、各部材の具体的な経過年数(耐用年数)を知る必要があります。

各部材の具体的な経過年数については、弊所別記事『経過年数の具体的な年数が知りたい!!』で詳しく解説していますので、ご確認ください。

 経過年数(耐用年数)の具体的な計算方法

貸主や不動産会社は、「長く入居したんだから、借主が多く原状回復費用を支払うのは当たり前だ」と主張するケースが多くありますが、“経過年数(耐用年数)の考慮”にそって考えれば、長く住めば住むほど、借主の原状回復負担は“下がる”のが原則です。

例えば、クロスの経過年数(耐用年数)は「6年」です。入居当時、クロスが新品だった部屋に4年間入居した方が、あやまってクロスを破いてしまった場合、クロスの残存価値(クロスの残りの価値)は33%しか残っていません。したがって、クロスの張替え費用が、㎡当たり1,000円だと仮定した場合、借主が負担しなければならないのは㎡当たり330円ということです。

上記、“クロスの残存価値は33%”の計算式は、下記の通りです。

(72(クロスの経過年数(耐用年数)である6年の月数)-48(居住期間4年の月数))÷72=33

上記計算式を使えば、貸主・借主の正確な原状回復負担割合を算出することが可能です。また、下記グラフを使って、簡易的に負担割合を確認することも可能です。

割合負担表1

入居時に新品でなかった場合の経過年数(耐用年数)の計算方法

世の中の物件は、すべて新築というわけではありません。以前、誰かが入居していた物件に入居する方が、割合としては多いでしょう。

前入居者が入居していた物件で、クロスが新品に変わっていれば上記原則どおり経過年数(耐用年数)は「6年」になります。では新品に変わっていなかった場合どうなるのでしょう。

例えば、前回の入居者が入居した際に、クロスの交換をして3年間で退去した。その後、新しい借主が3年間入居したが、あやまってクロスを破いてしまった場合はどうなるでしょうか?

もちろん、前入居者の入居していた期間も経過年数に通算されます。

たとえば、入居当時クロスが新品だった場合、クロスの残りの価値は3年間で50%になりますが、今回のケースでは前に3年間入居している人がいる。したがって、前入居者の入居していた期間も、経過年数に通算することになり、今回入居した方の負担は、1円というのが正しい考え方になります。

割合負担表2

まとめ

本記事でご紹介した計算式は、クロス以外の部材の経過年数の計算にも、もちろん使用できます。

たとえば、新築マンション(鉄筋コンクリート造)に10年間入居した場合で、フローリングを張替えるケースであれば、下記のような計算になります。

(47(鉄筋コンクリート造におけるマンションのフローリングの経過年数(耐用年数))-10(居住期間))÷47=79(一の位四捨五入)

適切な原状回復費用を算出するためには、経過年数の考慮は必要不可欠な知識です。ぜひ、本記事を参考にしていただければ嬉しく思います。

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